国際ロータリーの今一番の大きな運動は「ポリオ撲滅運動」です。アトランタの世界大会では世界中から来たロータリアンが同じシャツを着て朝早くウォーキングを行いました。残念ながらこのウォーキングに参加した日本人は私一人でした。
2017年は1年間で野生型のポリオの発生は世界中でわずか20件です。ポリオ撲滅まで本当にあとわずかです。
新しい年の初めにロータリー(特にロータリー財団)と世界のポリオ撲滅運動の関係について思いを馳せてみましょう。
このグラフは「戦争とポリオの発生」のグラフです。
パキスタン(特に西部)では過去アメリカの爆撃がありました。その時にはタリバンに近い住民がワクチンの接種を拒否したのでポリオの発生が急激に増加しました。その後、パキスタン政府の過激派との交渉、民間レベルではペシャワールのロータリークラブの奉仕活動(サーヴィス)などが受け入れられ、ポリオワクチンの接種が進み、急激に減少しました。つまり、爆撃などがあると住民が反発してポリオ接種ができなくなります。もちろん爆撃の中ではポリオワーカーも動けません。
実は爆撃がなくなった現在でもまだまだポリオワーカーは命の危険があります。今までに100名以上のポリオワーカーが殉職しています。黒い布で顔を隠さなければ反対派から脅迫されます。ワクチンを拒絶するために犬をけしかけられます。それでも「死んでいった仲間のために、ここで止めるわけにはいかない」との必死の思いで、危険なワクチン接種を続けているのです。
あなたならこのような危険な活動をしますか?
家族が脅迫されても活動を続けますか?
日当がいくらだったらこの活動に従事しますか?
彼女たちの日給をご存知ですか?
「死んでいった仲間のために、ここで止めるわけにはいかない」と恐怖と戦いながら、必死に頑張っている女性たちの叫びが聞こえますか?
同じ民族であるペシャワールのロータリークラブではこの政府直轄部族地域(FATA)に出向き、災害時の緊急支援、高齢者の健康管理、図書の寄贈などを行い、過激な思想をなんとか緩和してきました。そしてポリオワクチンの接種を推進したのです。その結果、ポリオの発生は激減しました。現在このFATA地域では野生型のポリオの発生はありません。
同じロータリアンである、あなたならこのような危険な地区にわざわざ出向きますか?
危険な地域に入り込んで、無償の奉仕活動をしますか?
つまり「ポリオワクチンは平和の象徴」であり、ロータリーのサーヴィスは「平和への架け橋」なのです。これ以上尊い活動があるでしょうか。極論すると、自分のためでなく(もちろん自分の事業繁栄のためでもなく)世界の平和のために、できるだけのことをしていこうというのがロータリーです。そうは言っても「自分を守る経済は大事」なので「Service
ABOVE Self」なのですが。
日本では現在ポリオ不活化ワクチンを4回接種しています。1回の価格はワクチンだけで5,000円です。ですから一人20,000円になります。年間100万人生まれますから200億円になります。これに日本政府はODAなどで海外に拠出していますし、WHO、UNICEFなどにも拠出しています。その合計は私の予想では年間400億円にもなると思います。すべて税金です。ポリオ撲滅の後にはこのお金はすべて必要なくなります。
この資金で例えば高齢者の福祉がもっと充実するかもしれません。子どもたちにもっと夢を与えられるかもしれません。ロータリアン一人ひとりの力で、もっと良い世の中にしていく、そのための資金をポリオ撲滅で得ることができるのです。
ところで2730地区のポリオへの現在の寄付の一人あたりの平均をご存知ですか?
年間1万円? 年間5,000円? 年間1,000円?
ロータリー財団が推奨しているポリオプラスのための寄付は年間4,000円です。
何が大切で、何を思い、何にお金を使うのか・・
敬愛する長峯基先生のお薦めで入会させていただいて以来、皆様には大変お世話になっております。皆様のご経験やご示唆など大変興味深く有り難く拝読しております。
Eクラブでの活動は、毎週のコメント提出を通じて、物事をじっくり考える、又、多様性の機会を頂いています。ロータリーの活動を通じて、私の目指すものは、気は優しく力持ち、そう言う日本であることを再認識しました。
2011年3月11日。この日を境に、日本の姿が一変しました。
「1000年に1度」と表される東日本巨大地震・津波被災を日本が、現在(いま)を生きる私たちが、遭遇しました。又、福島第一原発事故に対する収束の不手際、初動の大失態もあいまって、かつて経験したことのない未曾有の被災に直面する事になりました。
発災後の3月16日に、天皇陛下より国民に向けてのお言葉をいただきました。「この大災害を生き抜き、被災者として自らを励ましつつ、これからの日々を生きようとしている人々の雄々しさに深く胸を打たれています。」との率直なお気持ちをお述べになられました。私は、自民党参院の災害対策本部で、幹部議員とともに拝聴しておりました。この有り難いお言葉に、一同感極まり、日本再興を誓い合いました。その後も、天皇陛下の、お身体が万全ではないにもかかわらず、皇后陛下とご一緒に、たびたび、被災地にお出掛けられ被災者の皆さんを励まされているお姿に、深く胸を打たれております。
さて、人間は、科学によって非常に豊かな文明を生み出しましたが、あらゆる科学が人類に役に立つかというと、そうではなかったことが、今回の原発事故で逆に突きつけられました。我々は、人類文明を破壊するような科学の危険性にこれまで目をそらしていたのではないでしょうか。
直面している困難を早急に克服するとともに、我が国のエネルギー政策、国のかたちについて国民的議論を踏まえて、全国の原子力施設の安全性と電力の安定供給を確保することで、国民の安全と安心を回復することが急務です。
さらに、仮に日本で原発を徐々に廃止にしたとしても、数年後、数10年後にアメリカや中国などで同じような事故が起こる可能性があります。原発に過度に頼らずに、国を成り立たせるために、文明の新しいあり方を模索しないといけません。
これまで、反省すべき点は謙虚に反省し、それを克服して、さらに、良い国にして行く責任が、我々にあります。子供や孫に代に、引き継ぐ役割が我々責任世代に課せられています。
「疾風(しっぷう)に勁草(けいそう)を知る」と言う言葉がございます。
激しい風が吹くと、あらゆるものが飛ばされますが、根のしっかり張った草は飛ばされないで残る。激しい風が吹いて初めて強い草が見分けられるのです。
苦難や厳しい状況におかれてはじめて、その人の真価が問われます。
こういう時だからこそ、立ち止まって考える事が重要です。国家とは何か。日本の向かうべき方向は何処なのか。
郷土の偉人である現在の東京慈恵会医科大学の創設者である高木兼寛先生を紹介します。
当時多数の死者を出していたかっけの病気を治したことで、世界でもビタミンの父として名高い先生は、「病気を診(み)ずして病人を診よ」という言葉を残されました。これは、医学の実践から出た言葉でしょうが、物事の本質を見極める原点として私の政治活動の範としております。
今の政治に置き換えますと、「国会を診ずして国民を診よ」ということになるでしょう。選挙のための政策になっていないか、党利党略に走っていないかと語りかけています。政治、参議院の在り方自体を問われている今日、何のためにあるのかという原点に立ち返る必要があります。
戦後の復興を成し遂げた80代の方々が、「この状況は、戦後の焼け野が原に似ている。今の若者に我々のような気概があるか」と話されているのを聞きました。
被災地で示された東北の方々の助け合いの精神を、日本復興の礎にしなければなりません。私はそこに日本の希望があると思います。
経済成長率だけで幸せを測るのは間違っています。生活は便利じゃなくてもいい。私利私欲の国家ではなく、助け合いの精神、慈悲の精神のみなぎった国家にならなくてはならないと想います。
最後に、昨年、国連安保理の決議を無視し続ける北朝鮮の暴挙は、戦後最大の脅威であり、平和の尊さを実感しました。人間関係から国家間まで全ての争いは、小さい誤解から生じると言われます。
アジアの安定、平和の鍵を握るのは、日中関係の構築にあることに着目しています。本年は、日中平和条約締結40周年の大きな節目の年に当たります。ロータリアンとしての誇りを抱きながら、日中間の交流に汗を流して参ります。